銅箔(光沢面)とLCPを接着剤レスでラミネートしたFPC材の伝送損失

モバイル通信機器におけるアプリケーションの多様化やネットワークの高速化、すなわちCPUの動作速度、通信における伝送速度の高速化に伴い、小型電子機器内部で使用されるFPCでも高速信号伝送特性が必要になってきています。
優れた高周波特性を実現するためには、構造設計に加えて材料の選定が重要になります。
損失かつ低遅延を実現するため、
1)低誘電率、低誘電損失(tanδ)を有する材料である液晶ポリマー(LCP)を用いること
2)表皮効果(表層化現象)による損失を避けるために、銅箔の粗面化しない面を使用すること
3)接着剤を使用しないでラミネートすること
により、下表のように優れた伝送損失特性が得られました。

※ピール試験の結果は、こちらをご覧ください。


グラウンド-シグナル-グラウンド(GSG)試験

特性インピーダンスZ0=50Ω
圧延銅箔厚さ: 18μm
LCP厚さ: 100μm
カバーレイ: なし

測定装置: Agilent Technologies社製
    ネットワークアナライザE8363B
測定環境: 温度 20~25℃
        湿度 40~60%RH


上記特性が得られた理由として、CB処理により接着剤レスで銅箔とLCPを化学接合させた(=銅箔の粗面化処理不要)ことで銅箔表面の平滑性を保持でき、これにより表皮効果による伝送損失を低減させる効果が得られたものと考えられます。

このようにCB技術を用いることで、以下のような効果が期待できます。
・銅表面を無粗化のままでも、銅とLCPなどとの密着性を向上。
・銅回路表面が平滑であるため、高周波領域での高い伝送特性を実現。
・銅回路の微細化(細線パターン化)にも貢献。
 
また以下のような用途での活用が期待できます。
・5G通信など次世代移動通信システムの本格導入に向けての基地局や通信機器向けプリント配線板
・自動運転等各種センサーや自動ブレーキなどの演算処理のさらなる高速化を求める高周波基板
・データセンターなどで使用されている高性能サーバー向けプリント配線板
 


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