超低表面抵抗マグネシウム化成処理

通信用機器の高度化が進み、そこに使用されるマグネシウム成形品の性能に対する要求も、益々高くなっています。中でも、電波の周波数帯の拡張、簡易な接続による組み立てコスト低減のために、マグネシウム成形品の化成処理表面の抵抗を更に低く、安定化することが求められています。
ATCでは、マグネシウム成形品の標準的なノンクロム化成処理を発展させて、化成処理皮膜の抵抗値が低く、且つ、安定した低表面抵抗化成処理、さらに超低表面抵抗化成処理技術を紹介しております。
これにより基板のアースを筐体で簡易に取ることが出来るようになることが期待でき、また防錆性にも優れていますので、通信機の筐体などで是非ご検討下さい。

 


●低表面抵抗:非リン酸マンガン系 マグネシウム化成処理

処理皮膜の抵抗値を低く安定させることで、簡易なアース接続による組み立てコスト低減に貢献しています。


●超低表面抵抗:非リン酸マンガン系 マグネシウム化成処理

高度な導通性が必要な用途向けに低表面抵抗処理よりもさらに抵抗値の低い超低表面抵抗処理技術を提供します。

1. 超低抵抗化成処理のポイント

測定される抵抗値の安定化のために、従来の燐酸マンガン系処理に代えて非マンガン系の処理を採用して、処理表面のマクロ的な平滑化を図りました。

2.物性比較

マグネシウム成形品について低抵抗化成処理と超低抵抗化成処理の導通性化成処理皮膜の検査、試験結果をまとめると以下のようになります

LR:S-LR物性比較

 

3.抵抗値の比較

マグネシウム成形品に対する各化成処理の抵抗値は、以下のようであり、低抵抗化成処理および超低抵抗化成処理の優れた低抵抗化と抵抗値の安定性が理解いただけると思います。

LR:S-LR抵抗値比較

<AZ91>
・  低抵抗化成処理 : ロレスタ抵抗値(Ω)   平均値  0.13、 テスター抵抗値(Ω)  平均値 0.35
・超低抵抗化成処理  : ロレスタ抵抗値(Ω) 平均値 0.10 、  テスター抵抗値(Ω)  平均値 0.05 
皮膜種別: いずれも 非燐酸マンガン

<AZ31>
・  低抵抗化成処理 :  ロレスタ抵抗値(Ω)   平均値  0.12、  テスター抵抗値(Ω)  平均値 0.12
・超低抵抗化成処理  : ロレスタ抵抗値(Ω)   平均値  0.04、  テスター抵抗値(Ω)  平均値 0.07
皮膜種別: いずれも非燐酸マンガン

 

4. 塩水噴霧試験結果の比較

マグネシウム成形品の塩水噴霧試験において、低抵抗化成処理、超低抵抗化成処理品共に結果は良好ですが、超低抵抗化成処理の方が耐食性がやや低くなります。

LR-S-LR 塩水噴霧試験

R.N. : JIS Rating Number

<AZ91>
・ 低抵抗化成処理 : 独自評点 4.5、 R.N. 9.8
・超低抵抗化成処理 : 独自評点 4.0、 R.N. 9.0

<AZ31>
・  低抵抗化成処理 : 独自評点 3〜4、   R.N.8〜9
・超低抵抗化成処理:独自評点 2.5〜4、R.N.7〜9

注) 独自評点
5点:錆が全くない。
4点:糸錆とわずかに白錆がある。
3点:糸錆が50〜60%の面積に点在し、白錆が目立つ。
2点:糸錆と白錆が全面に点在する。
1点:糸錆、白錆がほぼ全面を覆う。
0点:糸錆、白錆が全面を覆い、盛り上がっている。

※性能表の数値は、保証値ではありません。詳しくは、ご相談ください。

 

性能比較表

標準グレードにおいても抵抗値の改善を図っておりますので、これらについて比較検討して頂きやすくするために比較表をご用意致しましたのでご参照ください。

標準化成処理と低抵抗化成処理では、化成処理皮膜成分が異なります。化成処理皮膜の性能としては、カタログでは差がないレベルですが、耐食性を重視される場合は、標準化成処理を推奨いたします。

外観に関しては、低抵抗化成処理の方が化成処理皮膜が均一で白っぽい仕上がりになります。薄い色の塗装をされる場合に、低抵抗化成処理を好まれる傾向があります。

 


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