接着剤レス|化学的接合による金属,ガラス,セラミックスと樹脂との接合一体化
CB(chemical bonding)技術は、金属やガラス、セラミックスの表面に化学的に反応性の手を沢山持った接合化合物を植え付け、熱エネルギーを与えることで、接合化合物と樹脂分子を化学的に反応させて結合させるテクノロジーです。
CB技術を用いることで、既存技術では十分な接合・接着強度が得られなかった異種材料同士を接着剤レスで強固に接合させることが可能となります。
HOT TOPICS
・ナノオーダーの極薄層でポリイミドフィルムに銅めっきを高密着
・LCPベースの市販FCCL同士の積層
・アルミニウム同士の接合効果
・ヒーター、ひずみゲージの構成
CB技術:異種材料接合の主要実績
※各分野向けにとりまとめた技術資料をPDFでダウンロード頂けます。あわせてご利用ください。
■コンバーター向け技術資料
■電子部品向け技術
■Technical document for Electrics(EN)
トピックス|5G用低損失基板に向けた高強度異種材料接合技術を開発
簡便な表面改質技術で平滑な銅箔とポリマーをダイレクトに接合
産総研(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)とATCは、共同で高周波用のフレキシブルプリント配線基板(FPC)を作製できる高強度な異種材料接合技術を開発いたしました。
【ポイント】
• 紫外光による化学反応を用い、ポリマー表面に酸素官能基を導入する化学修飾技術
• ポリマー材料の化学修飾により銅箔の表面粗化が不要で接着剤フリーの高強度接合を実現
• 高周波特性に優れた第5世代通信(5G)用フレキシブルプリント配線基板の開発を期待
この技術は銅張積層基板を構成するポリエステルフィルムの表面を、紫外光反応を用いる表面化学修飾技術により酸素官能基化し、ヒートプレスにより銅箔と接合するもので、銅箔の表面を粗くする必要がなく(粗面化が不要)、高い接合強度で異種材料を接合できる。今回開発した接合技術による配線基板は、銅箔表面に凹凸が無いので、信号が銅配線の表面層を流れる高周波でも伝送距離の伸長がない。伝送損失が少ない優れた特性の第5世代通信(5G)用プリント配線基板への応用が期待される。 詳しくは、産総研のプレスリリース をご覧ください。
異種材料接合が必要とされる理由とCB技術のポジション
現在、様々な産業分野において、高速化、軽量化など、より高度な性能が要求される中、材料構造・分子構造そのものが根本的に異なる金属(銅Cu, アルミAl、マグネシウムMg、鉄Feなど)と樹脂(LCP、COP、ポリイミドPI、PETなど)、セラミックス、ガラスなど複数の材料を、適材適所に用いるマルチマテリアル化(異種材料接合)技術の重要性が増加しています。
出典:日経ものづくり、2019年12月号 pp.48-49 特集1「前へ進む異種材料接合技術」
異種材料の接合技術は、日経ものづくり2019年12月号の体系図にまとめられているように、複数の技術があり、それぞれ得意分野があります。その体系図の中にも紹介されていますが、
CB技術は「化学的接合」によって異種材料を強固に結合させる技術です。
CB技術は接着剤のようにアンカー効果を必要としないので、とりわけ部材表面の平滑性を重視する5G,6Gなど高速通信向けの基板材料などで、その特徴が発揮されやすいものと考えます。ただし、化学結合させるための加工温度が重要なため、インサート成形への対応が難しく、シート状の基板部材の接合を得意としています。
CB技術の主な特徴
●化学結合により、樹脂をガラス,セラミックス,金属に強固に接合。
●熱可塑性樹脂だけでなく、熱硬化性BMC材料による絶縁・封止や、硬化前のSMC、FRPのようなシート材にも適用可能。
●銅箔、金メッキ部品などの電子材料や、セラミックス基板、アルマイト部材などに樹脂を接合・一体化。
●インパルスヒーター、レーザーなどによる溶着法も使用可能。
PA66+SUS
↑クリックにて引張試験の動画をご覧頂けます。
CB技術の金属と樹脂の接合効果
効果1.ハードな条件下でも樹脂と金属の接合強度を保持
SUS/PBT接合の耐久性
PBTが劣化する95℃硫酸水溶液1000時間浸漬という厳しい条件でも強度を保持。
効果2.金属材料に依存せず樹脂と強固に結合
接合化合物:CB技術
前処理:アンカー効果
樹脂:PC-ABS
接合:溶着260℃X1分
n = 5
冷間圧延鋼板、ステンレス材、アルミ圧延材、アルミダイカスト材に樹脂を接合する場合、表面の凹凸によるアンカー効果では金属材料ごとに表面の凹凸の状態が違うので、樹脂の接合強度が大きく異なります。これに対し、分子接合化合物を導入した後で樹脂を接合すると、金属材料によらず、樹脂の接合強度がほぼ同じになります。金属材と反応性官能基の結合強度が十分高い場合、同じ分子接合化合物の構造と樹脂の結合力で接合強度が支配されるので、金属材料の種類に依存しないためと考えられます。
効果3.樹脂軟化の影響を受けにくい
金属と樹脂を化学的な結合力で接合するCB技術と、金属表面の凹凸に樹脂を押し込んで物理的なアンカー効果で接合するエッチング処理による接合との違いを、引張り試験温度を上げていった場合のせん断引張り強さの変化で捉えてみました。
A5052アルミニウム板にガラス繊維60%入りのPA66を溶着した試験片を使用。
試験温度の上昇により、エッチング処理材では直線的に接合強度が低下し、120℃では、室温の40%以下まで下がってしまいます。これは、温度の上昇によりPA66樹脂が軟化して、金属表面の凹凸から外れ易くなってしまうためと考えられます。
これに対し、CB処理材では、125℃での強度比が60%以上と、強度低下が緩やかで、温度が230℃まで上昇しても強度比が50%以上を保持しており、強度低下の比率が下がります。アルミとPA66樹脂の界面が化学結合しているため、樹脂の軟化に抵抗して接合強度を保持していることが分かります。
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